Ⅰ. 市況報告
12月の鉄スクラップ国内市況は、鉄鋼生産が振るわない中でも発生・供給も冴えず、需給双方が様子見状態の流れのまま始まった。その後、海外需要の低迷を受けて輸出価格が下落したことで一部電炉に高値修正の動きが始まり、東京製鐵は12日に九州工場で1,000円、20日に宇都宮と田原工場で買値を500円下げた。これにより下げ基調が鮮明となったが、一方で為替が円安方向に振れたこともあり、国内相場は大幅な値下げには至らなかった。
2024年の鉄スクラップ市況は①為替と②中国の鋼材輸出に大きく影響を受けながら推移した。2024年前半はH2が約5万円を維持しつつ凪相場が続いたが、鋼材需要が悪化する中で、夏場に為替が円高に振れると円ベースの輸出価格を押し下げ、市況は弱基調に転じ、価格は4万円台に後退した。また、中国からの鋼材や半製品の高水準の輸出がアジア各国の鉄スクラップ需要を押し下げ、日本の鉄スクラップ輸出価格の下押し要因となった。2025年もこの二つの要因が鉄スクラップの市況に大きく影響を与えるものと思われる。
12月末のH2炉前価格としては、関東が40,000~41,000円、関西(大阪・姫路)が40,500~43,000円となり、前月末比較ではいずれも横這いから500円下げの範囲となった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2024年11月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,888 |
-37 |
(うち電炉) |
1,798 |
-26 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,315 |
-57 |
小棒生産 |
568 |
+1 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2024年10月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2024年11月) |
前月比 |
単価 (2024年12月) |
前月比 |
スクラップ |
580 |
+23 |
40,700 |
-2,700 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2024年11月 |
146,800 |
-5,300 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2024年11月 |
2週目 |
319.33 |
73.1 |
3週目 |
316.67 |
74.5 |
4週目 |
316.67 |
73.8 |
2024年12月 |
1週目 |
316.67 |
75.1 |
2週目 |
316.67 |
74.3 |
3週目 |
303.33 |
76.1 |
4週目 |
303.33 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年12月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 37.5~38.5 |
37.5~38.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 40.0~41.0 |
39.5~40.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 40.0~41.0 |
39.5~40.5 |
100% |
様子見 |
関東
| 40.5~41.5 |
40.0~41.0 |
100% |
様子見 |
中部
| 40.0~41.5 |
39.5~41.0 |
100%前後 |
様子見 |
関西
| 41.0~42.0 |
40.5~42.0 |
100%強 |
様子見 |
姫路
| 41.5~43.0 |
41.5~43.0 |
100%強 |
様子見 |
中・四国
| 41.5中心 |
41.5中心 |
100% |
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九 州
| 41.4中心 |
40.5中心 |
100% |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |