Ⅰ. 市況報告
7月の国内鉄スクラップ相場は3月末から続いた下落基調に歯止めがかかり、関東など一部地域で4ヵ月ぶりに反発した。6月末に開催されたG20大阪サミット以降、米中貿易摩擦に対する懸念が一時的に和らぎ、海外相場で値戻しが進展したことが追い風となった。国内相場は新規輸出相場が先導する形で底入れし、7月末時点のH2炉前価格は関東が前月の底値比¥500~1,000程度高い@¥26,000~27,000、関西は@¥25,500~26,500とこちらは反発力に欠ける展開となっている。
市中では梅雨明けに伴い発生の夏枯れが指摘され、今後も上昇が続くとの期待感が強まってきている。半面、H2のベトナム向け成約価格が$300(CFR)に到達した一方、韓国大手需要家の提示価格は¥27,000(FOB)にとどまるなど、輸出相場は向け先により温度差を残している。8月には国内電炉メーカーの減産が本格化することから内需の落ち込みを懸念する声も根強く、国内相場は底入れ後も力強さを欠く状況となっている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2019年6月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,789 |
+113 |
(うち電炉) |
2,185 |
+97 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,267 |
-98 |
小棒生産 |
752 |
+66 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2019年5月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2019年7月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
70,100 |
-1,200 |
H形鋼 |
87,000 |
-1,000 |
スクラップ |
24,400 |
-2,900 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2019年6月) |
前月比 |
単価 (2019年7月) |
前月比 |
スクラップ |
629 |
+110 |
28,000 |
-300 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2019年6月 |
158,978 |
-3,766 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2019年6月 |
2週目 |
235.00 |
80.6 |
3週目 |
235.00 |
81.1 |
4週目 |
235.00 |
80.5 |
2019年7月 |
2週目 |
228.33 |
79.4 |
3週目 |
228.33 |
80.2 |
4週目 |
228.33 |
80.4 |
5週目 |
223.83 |
(未入電) |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2019年7月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 23.5~25.5 |
23.0~25.0 |
100%強 |
様子見 |
東北
| 22.5~24.5 |
22.5~24.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
新潟
| 24.5~25.5 |
24.5~25.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
関東
| 26.0~26.5 |
26.0~27.0 |
100%弱 |
堅調様子見 |
中部
| 25.0~26.0 |
24.5~25.5 |
100% |
様子見 |
関西
| 26.0~27.0 |
25.5~26.5 |
100%強 |
様子見 |
姫路
| 26.0~27.0 |
25.5~26.5 |
100%強 |
様子見 |
中・四国
| 26.0中心 |
25.5中心 |
100% |
様子見 |
九 州
| 26.0中心 |
25.0中心 |
100% |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |