Ⅰ. 市況報告
7月後半から上昇基調にあった国内鉄スクラップ市況は、8月に入っても勢いは止まず、特にお盆休み明けには輸出向け価格に引き上げられる形でさらに上昇している。月末のH2炉前価格は関東で@¥26,000~26,500、関西で@¥24,500~25,500で前月比@¥3,000以上値上がりしている。
この値上りは、ベトナム向けを中心とした輸出価格の上昇に引っ張られた感が強い。コロナ禍の継続で流通量が十分でない中、限られた玉を輸出向けと国内需要家が取り合う形となり、ちょっとした需給ギャップが価格に強く反映する状況が続いている。
H2の輸出向け成約価格は、ベトナム向けで一時@¥28,000FOBを超えたと言われ、高値に抵抗を示していた韓国需要家も相場に追随する動きを見せているものの、さすがにこれ以上の高値は通り難くなってきたとの報道もある。一方でトルコ向けDeep Sea(欧米産の大型貨物船輸送)契約は依然堅調であり、湾岸の輸出業者も買い価格を下げる動きは見られない。
国内市況は、強気感を維持したまま9月を迎えようとしている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2020年7月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,049 |
+451 |
(うち電炉) |
1,636 |
+111 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,578 |
+179 |
小棒生産 |
658 |
-5 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2020年6月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2020年8月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
62,300 |
+200 |
H形鋼 |
73,500 |
-100 |
スクラップ |
21,300 |
+700 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2020年7月) |
前月比 |
単価 (2020年8月) |
前月比 |
スクラップ |
728 |
-155 |
26,500 |
+3,400 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2020年7月 |
156,679 |
+8,384 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2020年7月 |
2週目 |
193.33 |
58.3 |
3週目 |
193.33 |
58.9 |
4週目 |
193.33 |
59.3 |
2020年8月 |
1週目 |
193.33 |
60.4 |
2週目 |
211.67 |
61.5 |
3週目 |
211.67 |
63.0 |
4週目 |
211.67 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2020年8月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 20.0~21.5 |
22.5~24.0 |
100% |
様子見 |
東北
| 18.5~20.5 |
22.0~24.0 |
100%弱 |
強含み |
新潟
| 20.5~21.5 |
24.0~25.0 |
100% |
強含み |
関東
| 22.0~23.0 |
26.0~26.5 |
100%弱 |
強含み |
中部
| 21.0~22.5 |
24.0~25.5 |
100%弱 |
強含み様子見 |
関西
| 22.5~23.5 |
24.5~25.5 |
100%弱 |
強含み様子見 |
姫路
| 23.0~24.0 |
25.5~26.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 23.0中心 |
25.5中心 |
100% |
様子見 |
九 州
| 23.5中心 |
26.5中心 |
100% |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |