Ⅰ. 市況報告
7月に始まった高値修正の流れは、8月になっても継続しH2以下の中下級グレードは、関東、中部を中心に価格は下落した。他方、HS、新断の上級グレードは、海外および国内高炉メーカーの引きが強く値下がり幅は限られている。月末のH2価格は、関東が¥47,000~48,000、関西が¥49,500~50,500を形成し、西高東低の状況は変わっていない。
国際市況も下落しており、トルコ向け米国産HMS価格は$450CFRと1か月前と比較し$50値下がりした他、新型コロナウイルス感染再拡大の影響に伴う荷役の遅延やフレートの高騰が障害となり、ベトナム、韓国勢の日本産H2に対する引き合いも低調に推移している。
加えて、鉄鉱石価格も中国政府の製鉄メーカーへの粗鋼減産指示を受けて、ピークアウトしており、中国向けスポットで$130~150CFRと天井から$70程度の下げが報告されている。
しかし、鋼材市況は高炉製品、電炉製品共に値上がり途上にあり、製鉄メーカーの鉄スクラップ需要は依然高く、夏枯れによる鉄スクラップ流通量低迷も相俟って市中に荷余り感は感じられない。市況先行きに関して、H2以下の値下がりは今後も継続するのではないか、と高値からの下落基調は鈍く秋需に向けて再び上昇に向かうのはないか、の二通りの見方が存在したまま越月する状況にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年7月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,007 |
-101 |
(うち電炉) |
1,957 |
-147 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,885 |
-14 |
小棒生産 |
670 |
-18 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年6月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年8月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
|
価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
88,300 |
+1,000 |
H形鋼 |
100,700 |
+4,400 |
スクラップ |
46,100 |
-900 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2021年7月) |
前月比 |
単価 (2021年8月) |
前月比 |
スクラップ |
598 |
-151 |
47,300 |
-700 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2021年7月 |
161,700 |
-6,200 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年7月 |
2週目 |
461.67 |
84.1 |
3週目 |
461.67 |
84.6 |
4週目 |
461.67 |
85.0 |
2021年8月 |
1週目 |
461.67 |
84.8 |
2週目 |
438.33 |
84.7 |
3週目 |
438.33 |
85.0 |
4週目 |
438.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年8月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
|
月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.5~46.5 |
45.0~46.0 |
100% |
弱含み |
東北
| 47.0~48.0 |
46.0~47.0 |
100% |
弱含み |
新潟
| 46.5~47.5 |
46.0~47.0 |
100% |
弱含み |
関東
| 48.5~49.5 |
47.0~48.0 |
100%強 |
弱含み |
中部
| 49.0~50.0 |
46.5~48.0 |
100% |
弱含み |
関西
| 50.5~51.5 |
49.5~50.5 |
100%強 |
弱含み |
姫路
| 50.0~51.0 |
49.5~50.0 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 50.5中心 |
49.5中心 |
100% |
様子見 |
九 州
| 49.0中心 |
48.0中心 |
100% |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |