Ⅰ. 市況報告
4月まで強基調で推移した国内鉄スクラップ相場は5月に入ると高値修正局面を迎え、H2炉前価格は各地で6万円を割り込んだ。月末のH2炉前価格は関東が56,000~57,000円程度、関西が57,500~58,500円程度と前月末比8,000~9,000円下落し、東西ともに3ヵ月ぶりの安値に後退している。
海外では安価なロシア産ビレットの流通が伝えられた4月以降、トルコ向け成約価格が急反落し、海外需要家は一斉に様子見姿勢を強めた。その影響で日本産スクラップの新規輸出商談も難航し、ゴールデンウィーク明けには国際価格の下落が波及する形で国内でも高値修正の動きが本格化した。
海外市場ではトルコ向けHMS成約価格がトン当たり$455~460(CFR)と3月に付けた高値からの値下がりが$200規模に拡大し、日本からの輸出価格は韓国向けH2で53,500円(FOB)と前月の高値から12,500円大幅反落している。国内相場は輸出相場と比較して高値圏にあるうえ、電炉メーカーの荷止めや荷受け制限が広がり需給が緩和している地区も見受けられることから、国内相場はしばらく軟調に推移しそうだとの見方が多い。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年4月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,471 |
-484 |
(うち電炉) |
2,012 |
-51 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,980 |
+103 |
小棒生産 |
679 |
+21 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年3月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年5月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
115,900 |
+5,000 |
H形鋼 |
118,100 |
+2,500 |
スクラップ |
59,200 |
-2,600 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2022年4月) |
前月比 |
単価 (2022年5月) |
前月比 |
スクラップ |
665 |
+50 |
54,300 |
-11,500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年4月 |
162,700 |
+1,700 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年4月 |
2週目 |
527.67 |
80.9 |
3週目 |
518.33 |
81.7 |
4週目 |
518.33 |
81.3 |
2022年5月 |
1週目 |
518.33 |
81.4 |
2週目 |
503.33 |
81.8 |
3週目 |
443.33 |
82.0 |
4週目 |
443.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年5月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 61.5~62.5 |
54.0~55.0 |
100%強 |
弱含み |
東北
| 62.5~63.5 |
54.0~55.0 |
100%強 |
弱含み |
新潟
| 64.0~65.0 |
55.5~56.5 |
100%強 |
弱含み |
関東
| 65.5~66.5 |
56.0~57.0 |
100%強 |
弱含み |
中部
| 64.5~65.5 |
56.0~57.0 |
100%強 |
弱含み |
関西
| 66.0~67.5 |
57.5~58.5 |
100% |
弱含み |
姫路
| 65.0~65.5 |
56.5~57.0 |
100% |
弱含み |
中・四国
| 65.5中心 |
57.0中心 |
100% |
弱含み |
九 州
| 65.5中心 |
57.0中心 |
100% |
弱含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |