Ⅰ. 市況報告
5月の国内鉄スクラップ市況は、前半まで荷余り感が継続し、輸出価格も先行安となっていたため、相場は軟調に推移した。しかし、下げ相場で積極的な出荷を続けてきたサプライヤーの手持ち在庫が減少したことで、大型連休後は荷動きが鈍化。中旬になると相場に底値感が出始め、月後半は関西を中心に相場は強含みに転じた。国内メーカーの大勢は様子見を継続しているが、一部の電炉メーカーは値上げを実施している。荷動き低下と高水準の船積みによる需給のタイト化で湾岸価格も上昇。関東では月末に浜値が電炉価格を逆転した。また、為替も市況に大きな影響を与えている。円安に振れている分、日本産鉄スクラップ価格に優位性が生まれた。
需要に強さはないものの海外市況も下げ止まる形となり、トルコ輸入価格は月末までに5㌦ほど小反発した。
5月末のH2炉前価格は、関東が¥46,000~47,000、関西(大阪・姫路)が¥46,000~49,000で、前月末比較では関東は¥2,000ほど安いが、関西はほぼ同値となっている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年4月)
生産・在庫量 | 前月比 | |
---|---|---|
粗鋼生産 | 7,239 | -247 |
(うち電炉) | 1,965 | +8 |
メーカースクラップ在庫※ | 3,447 | +178 |
小棒生産 | 671 | +24 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年3月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
数量 (2023年4月) |
前月比 | 単価 (2023年5月) |
前月比 | |
---|---|---|---|---|
スクラップ | 560 | -16 | 46,900 | -1,500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
生産量 | 前月比 | |
---|---|---|
2023年4月 | 161,400 | -3,700 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
価格(U.S.ドル) | 操業率(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年4月 | 2週目 | 396.67 | 75.0 | ||||
3週目 | 370.00 | 75.6 | |||||
4週目 | 370.00 | 76.3 | |||||
2023年5月 | 1週目 | 370.00 | 76.1 | ||||
2週目 | 370.00 | 76.7 | |||||
3週目 | 330.00 | 76.8 | |||||
4週目 | 330.00 | 未入電 | |||||
■資料:日本鉄源協会 | |||||||
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年5月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
月初 | 月末 | 入荷状況 | 見込み | |
---|---|---|---|---|
北海道 | 45.5~46.5 | 43.5~44.0 | 100% | 様子見 |
東北 | 47.0~48.0 | 45.0~46.0 | 100% | 様子見 |
新潟 | 47.5~48.5 | 45.0~46.0 | 100% | 様子見 |
関東 | 48.0~49.0 | 46.0~47.0 | 100%弱~100% | 堅調様子見 |
中部 | 48.0~49.5 | 45.5~47.0 | 98%~100%強 | 様子見 |
関西 | 47.5~49.5 | 47.0~49.0 | 95% | 強含み |
姫路 | 48.5~49.0 | 46.0~46.5 | 100% | 様子見 |
中・四国 | 49.5中心 | 47.0中心 | 100% | |
九 州 | 50.0中心 | 47.5中心 | 100% | |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |