Ⅰ. 市況報告
1月の鉄スクラップ国内相場は、16日の関東地区での輸出入札結果が海外の堅調な市況を背景に国内価格を大幅に上回ったことを受けて、直後に全国的に1,000~2,000円の値上げが広がった。その後、トルコ等の海外市況が頭打ちとなり、関東地区では複数の電炉での設備トラブルや製品販売不振による減産から荷余り感が台頭。26日頃か北海道を除く東日本地区で1,000~2,000円の値下げの動きが広がった。一方、関西地区、中部地区は関東の値下げには追随せず保合い状況で月末を迎えている。
なお、2023暦年の日本の鉄スクラップ輸出量は前年比9.9%増の約693万トンであった。3年ぶりに増加に転じた。円安が寄与した面も大きいが、国内電炉生産の減少による内需減が輸出増の大きな背景にある。但し、最大需要家の韓国向けが伸び悩み、本格的な回復には至らなかった。
1月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~52,000、関西(大阪・姫路)が¥51,000~54,000で、前月末比較では関東、関西ともにほぼ¥1,000~¥2,000の値上げであった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年12月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,980 |
-131 |
(うち電炉) |
1,851 |
-168 |
メーカースクラップ在庫※
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3,236 |
-58 |
小棒生産 |
581 |
-50 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年11月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2023年12月) |
前月比 |
単価 (2024年1月) |
前月比 |
スクラップ |
609 |
+113 |
52,300 |
+800 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2023年12月 |
135,700 |
-9,800 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2023年12月 |
2週目 |
341.67 |
74.6 |
3週目 |
368.33 |
73.7 |
4週目 |
368.33 |
73.1 |
2024年1月 |
1週目 |
368.33 |
76.9 |
2週目 |
368.33 |
76.5 |
3週目 |
368.33 |
75.7 |
4週目 |
368.33 |
75.6 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年1月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.5~46.0 |
47.0~48.0 |
100% |
様子見 |
東北
| 49.5~50.5 |
49.5~50.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 49.5~50.5 |
49.5~51.5 |
100% |
様子見 |
関東
| 50.0~51.0 |
50.0~52.0 |
100%~100%強 |
軟調様子見 |
中部
| 49.5~51.0 |
51.0~52.5 |
98%~100% |
様子見 |
関西
| 50.5~52.0 |
52.5~54.0 |
100%前後 |
様子見 |
姫路
| 50.5~51.0 |
52.5~53.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 51.0中心 |
53.0中心 |
100% |
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九 州
| 51.0中心 |
53.0中心 |
100% |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |