Ⅰ. 市況報告
2024年前半を振り返るに、鉄スクラップ価格は5万円を中心に変動が極めて少ない半年間であったと評価できる。価格を下支えした要因として、円安ドル高、発生・流通薄、東京製鐵の輸出対抗措置としての価格設定、ひいてはカーボンニュートラル絡みでの鉄スクラップの環境価値の見直しから来る鉄スクラップへの期待等が挙げられる。
6月前半の鉄スクラップ国内相場は、地域によって若干の差はあったものの、全国的に様子見横ばいで推移した。6月13日の関東地区輸出テンダーでは、落札値が51,364円と地場電炉価格とほぼ同等の価格であり、市況に影響を与えることはなかった。6月後半に入ると、付帯設備損傷で5月下旬以来生産を停止していた東京製鐵田原工場の稼働再開が決定し、同社は6月18日に同工場の値上げを実施。その後、入荷促進と為替円安による輸出対抗から、26日からは田原工場に加え宇都宮工場も値上げした。一方、26日の改定で関西サテライトヤードは500円値下げした。6月末の需給は地域によって若干異なるものの、総じて需要と供給が低調なまま均衡した状態が続いている。
6月末のH2炉前価格としては、関東が51,500~52,500円、関西(大阪・姫路)が50,000~52,500円で、前月末比較では関東において約1,000円値上がりした。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2024年5月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,168 |
+114 |
(うち電炉) |
1,885 |
-50 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,216 |
+24 |
小棒生産 |
564 |
-67 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2024年4月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2024年5月) |
前月比 |
単価 (2024年6月) |
前月比 |
スクラップ |
520 |
+48 |
50,800 |
-1,000 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2024年5月 |
165,100 |
+9,400 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2024年5月 |
3週目 |
320.00 |
78.1 |
4週目 |
320.00 |
78.5 |
5週目 |
320.00 |
78.6 |
2024年6月 |
1週目 |
320.00 |
77.3 |
2週目 |
319.33 |
76.7 |
3週目 |
310.00 |
77.0 |
4週目 |
310.00 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 47.0~47.5 |
46.5~47.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 50.0~50.5 |
50.5~51.5 |
100% |
値上り |
新潟
| 50.5~51.5 |
50.5~51.5 |
100% |
様子見 |
関東
| 50.5~51.5 |
51.5~52.5 |
100%前後 |
値上り |
中部
| 49.5~51.5 |
50.5~52.0 |
98%~100%強 |
値上り |
関西
| 51.0~52.5 |
51.0~52.5 |
100% |
様子見 |
姫路
| 50.5~51.5 |
50.0~51.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 51.5中心 |
51.5中心 |
100% |
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九 州
| 51.5中心 |
51.5中心 |
100% |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |