Ⅰ. 市況報告
10月の国内鉄スクラップ市況は、3月以降続く下落の動きに歯止めがかからず一段の値下げが進んだ。月末のH2価格レベルは関東で@¥22,000~23,000、関西で@¥22,000~22,500と前月末比@¥1,000程度低位となっている。
この背景には、高炉、電炉共に粗鋼生産の落ち込みがあり、特に電炉鋼生産は前年比約5%も減少しており、鉄スクラップへの需要低下に繋がっている。海外では、米国も操業率が徐々に下がり始めているのに加え、コンポジット価格も1か月で@$35下落している。
一方で、トルコ、東南アジア向けのDeep Sea(大型貨物船輸送)の価格は、底入れし、トルコ向け米国産で@$25程度値上がりした他、ベトナム向けオッファー価格も同様の値上がり、台湾向けコンテナー貨物も@$15上がっており、さらに上昇しそうな気配にある。これに連れて、ベトナム、台湾から日本産H2への引き合いも出始め、一部では値戻しも報告されている。しかし、韓国需要家は潤沢な在庫を背景に、日本産H2価格の引き上げには応じていない。
このように、盛り上がりを欠く国内需要と一部底入れ気配のある輸出環境が共存しており、先行きが見通し難い状況で月末を迎えている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2019年9月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,045 |
-71 |
(うち電炉) |
1,983 |
+220 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,343 |
-40 |
小棒生産 |
676 |
+43 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2019年8月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2019年10月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
66,700 |
-1,600 |
H形鋼 |
83,700 |
-1,300 |
スクラップ |
21,000 |
-1,800 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2019年9月) |
前月比 |
単価 (2019年10月) |
前月比 |
スクラップ |
635 |
-57 |
22,800 |
-1,100 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2019年9月 |
151,499 |
-4,539 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2019年9月 |
3週目 |
218.33 |
78.5 |
4週目 |
218.33 |
77.7 |
5週目 |
218.33 |
78.4 |
2019年10月 |
1週目 |
206.00 |
78.0 |
2週目 |
182.67 |
78.7 |
3週目 |
182.67 |
79.6 |
4週目 |
182.67 |
(未入電) |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2019年10月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 19.0~21.0 |
18.0~20.0 |
100% |
弱含み様子見 |
東北
| 20.0~22.0 |
19.0~21.0 |
100% |
弱含み様子見 |
新潟
| 22.0~23.0 |
20.5~21.5 |
100%強 |
弱含み様子見 |
関東
| 23.0~24.0 |
22.0~23.0 |
100% |
弱含み様子見 |
中部
| 22.5~23.5 |
21.0~22.0 |
100% |
弱含み様子見 |
関西
| 23.0~23.5 |
22.0~22.5 |
100% |
様子見 |
姫路
| 22.0~23.0 |
21.0~22.0 |
100% |
弱含み様子見 |
中・四国
| 21.5中心 |
20.5中心 |
100% |
様子見 |
九 州
| 23.5中心 |
23.0中心 |
100% |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |