市況【2019年9月2日掲載】

Ⅰ. 市況報告

8月の国内鉄スクラップ市況は、需要側は電炉メーカーの夏季減産に伴う鉄スクラップ購入減、また供給側では全国的な猛暑とお盆シーズンの回収減が相俟って荷動きは低調に推移した。
月末のH2価格は、関東で@¥26,000~27,000、関西が@¥24,500~25,500と関西で前月末比@¥1,000程度の値下がりとなっており、東高西低の状態が続いている。
 建設用鋼材市況も陰りが伝えられる中で、電炉メーカーの減産基調は当面続くと予想され、鉄スクラップに対する需要の回復は遅れる気配が濃厚となっている。
 海外マーケットも、トルコ向け欧米産鉄スクラップは値下がりし、米国のベトナム向けDeep Sea(貨物船輸送)、台湾向けコンテナー契約も共に下落が報告されている。また、アジア向け日本産鉄スクラップの輸出成約は円高も影響して盛り上がりを欠く状況となっている。
 トピックスとしては、市中の鉄スクラップ購入数量を絞っていた高炉が、鉄スクラップの安値に注目して買い出動に動き出すとの情報もあるが、市況を押し上げるまでには至っていない。
 従来であれば相場が活況つく秋を迎えても、内需・外需共に先行きに不安を抱えながら月末を迎えている。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2019年7月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 8,387 402
(うち電炉) 1,842 343
メーカースクラップ在庫 3,222 45
小棒生産 655 97
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2019年6月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)価格 (2019年8月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)

  価格 前月比
異形棒鋼 69,100 1,000
H形鋼 86,500 500
スクラップ 24,400 ±0
(単位:円)■資料:日本鉄源協会

(3)輸出

  数量
(2019年7月)
前月比 単価
(2019年8月)
前月比
スクラップ 684 55 28,400 400
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(4)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2019年7月 156,697 2,281
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(5)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2019年7月 3週目 228.33 80.2
4週目 228.33 80.4
5週目 228.33 80.9
2019年8月 1週目 228.33 81.5
2週目 248.33 80.2
3週目 248.33 79.8
4週目 248.33 未入電
■資料:日本鉄源協会

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2019年8月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 23.0~25.0 21.0~23.0 100%強 値下がり
東北 22.5~24.5 22.0~24.0 100%強 弱含み
新潟 24.5~25.5 24.5~25.5 100% 様子見
関東 26.0~27.0 26.0~27.0 100%強 弱含み
中部 24.5~25.5 24.0~25.0 100% 軟調様子見
関西 25.5~26.5 24.5~25.5 100% 軟調様子見
姫路 25.5~26.5 24.0~25.0 100%強 軟調様子見
中・四国 25.5中心 23.5中心 100% 軟調様子見
九 州 25.0中心 24.5中心 100%弱 様子見
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社