Ⅰ. 市況報告
1月下旬に始まった国内鉄スクラップ価格の値下がりは、2月に入ってその動きを強めた形となり全国的にさらに下落した。関東地区では、H2の炉前実勢価格が@¥20,000以下が増え、中心価格は2016年10月以来の低レベルとなっている。この背景には、電炉の粗鋼生産量の落ち込みがあり、また高炉メーカーが発表した大規模な合理化案も鉄鋼業界全体に暗い影を落とすこととなっている。
国際市況はトルコ向け価格が中旬に底打ちから上昇に転じ、米国産HMSが$280CFRと直近の安値比$20上昇したのを皮切りにアジア向け価格も回復を見せたが、前月の価格水準には至っていない。日本産輸出の動きは、韓国向けは需要家の動きが鈍く低迷しているものの、ベトナム、台湾向けは国内価格以上での成約が期待できるとの見方が出ており、東京湾岸の価格は地場電炉の炉前価格を上回っている。
月末を迎え、輸出向け価格上昇の影響から国内市況にも底打ち気配が見え始めているが、新型コロナウィルス問題の市況に与える負の影響も無視できない状況になりつつあり、先行きの読みにくい展開のまま越月する模様。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2020年1月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,244 |
+460 |
(うち電炉) |
1,771 |
-76 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,580 |
+147 |
小棒生産 |
573 |
-53 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2019年12月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2020年2月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
66,200 |
-100 |
H形鋼 |
79,900 |
-2,000 |
スクラップ |
19,600 |
-3,400 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2020年1月) |
前月比 |
単価 (2020年2月) |
前月比 |
スクラップ |
655 |
-109 |
22,400 |
-3,000 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2020年1月 |
154,436 |
+2,315 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2020年1月 |
2週目 |
259.33 |
82.5 |
3週目 |
259.33 |
82.7 |
4週目 |
259.33 |
82.3 |
2020年2月 |
1週目 |
259.33 |
82.1 |
2週目 |
232.67 |
81.4 |
3週目 |
232.67 |
81.8 |
4週目 |
232.67 |
81.5 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2020年2月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 19.0~21.0 |
16.0~18.0 |
100% |
様子見 |
東北
| 19.5~21.5 |
16.5~18.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 21.0~22.0 |
18.0~19.0 |
100% |
様子見 |
関東
| 23.0~23.5 |
19.5~20.5 |
100% |
様子見 |
中部
| 22.5~23.5 |
19.0~20.0 |
100% |
様子見 |
関西
| 22.5~24.0 |
19.5~21.5 |
100%弱 |
様子見 |
姫路
| 22.5~23.5 |
19.5~20.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 22.0中心 |
19.0中心 |
100%強 |
弱含み横這い |
九 州
| 23.5中心 |
19.5中心 |
100%強 |
弱含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |