Ⅰ. 市況報告
国内鉄スクラップ相場は、5月下旬から国際価格の上昇に引っ張られる形で上昇し、6月に入るとその勢いを強め急騰局面を形成した。特に輸出向け比率の高い関東地区では一時、H2の地場電炉向け価格が前月の底値比@¥8,000高の@¥26,000~26,500に高騰したものの、月末には一転して急落に見舞われ、下げ足を速めながら7月入りしている。
コロナ禍による鉱工業生産の落ち込みで加工スクラップ流通量が大きく減少しているため、国内向けと輸出向けとで少ない玉を取り合う恰好となり、予想を上回る価格上昇につながった。採算悪化を受けて国内電炉は鋼材価格の底上げを図っているが、鋼材生産は伸びず、国内の急激な価格上昇で輸出向け競争力が失われると天井感が急速に強まった。先行き流通量の回復は期待できないうえ、需要の回復も見込めず、下落が関東から他地区へ波及しながら年後半を迎えている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2020年5月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
5,916 |
-701 |
(うち電炉) |
1,615 |
-157 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,668 |
+89 |
小棒生産 |
613 |
-46 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2020年4月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2020年6月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
|
価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
61,600 |
-500 |
H形鋼 |
73,100 |
-800 |
スクラップ |
21,500 |
+3,700 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2020年5月) |
前月比 |
単価 (2020年6月) |
前月比 |
スクラップ |
687 |
-216 |
25,700 |
+4,400 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2020年5月 |
148,775 |
+11,677 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2020年5月 |
3週目 |
202.67 |
53.7 |
4週目 |
202.67 |
53.2 |
5週目 |
202.67 |
53.8 |
2020年6月 |
1週目 |
210.00 |
53.3 |
2週目 |
210.00 |
54.0 |
3週目 |
210.00 |
54.6 |
4週目 |
210.00 |
55.4 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2020年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
|
月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 17.5~19.5 |
21.5~23.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 17.5~19.5 |
20.5~22.5 |
100%強 |
低落 |
新潟
| 18.5~19.5 |
20.5~21.5 |
100%強 |
低落 |
関東
| 21.0~23.0 |
23.0~24.0 |
100%強 |
低落 |
中部
| 19.0~21.0 |
22.5~24.5 |
100% |
弱含み |
関西
| 20.0~21.5 |
24.0~25.0 |
100%強 |
様子見 |
姫路
| 20.0~21.0 |
24.5~25.5 |
100% |
弱含み様子見 |
中・四国
| 19.5中心 |
24.5中心 |
100% |
弱含み |
九 州
| 19.5中心 |
25.0中心 |
100%強 |
弱含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |