市況【2020年1月6日掲載】

Ⅰ. 市況報告

11月に底打ちから上昇に転じた国内鉄スクラップ市況は、12月に入り前半は上昇基調を保ったものの、国内需要が盛り上がりを欠いた影響もあり、中盤以降は横這いで推移している。月末のH2価格は、関東が@¥24,500~25,000、関西で@¥24,500~25,500と前月末より@¥1,000程度高いレベルとなっている。
 国際市況は、相変わらず好調で、トルコ向けのHMS価格は@$300CFRを超え直近の安値から@$70~80上がった他、アジアのベトナム、台湾(コンテナー)向けも上昇を維持している。12月の関東鉄源協同組合の落札最高値が@¥26,000台を記録した事も輸出向け価格の好調さを裏付けている。
 日本国内の鉄スクラップ価格上昇が鈍いのは、電炉の粗鋼生産の減少が起因している。1~11月の電炉粗鋼生産量は昨年比△6.0%と大きく落ち込んでおり、五輪需要の後退もあって当面回復は見込めないとの見方が多い。
 引き続き好調な国際市況といま一つ冴えない国内市況との狭間にあって、相場は先行きが読めないまま年末を迎えている。

Ⅱ. 鉄鋼諸指標

(1)生産・在庫(2019年11月)

  生産・在庫量 前月比
粗鋼生産 7,743 414
(うち電炉) 2,024 30
メーカースクラップ在庫 3,351 17
小棒生産 682 41
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2019年10月の数値)■資料:日本鉄源協会

(2)価格 (2019年12月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)

  価格 前月比
異形棒鋼 66,300 100
H形鋼 82,300 1,100
スクラップ 22,700 1,600
(単位:円)■資料:日本鉄源協会

(3)輸出

  数量
(2019年11月)
前月比 単価
(2019年12月)
前月比
スクラップ 664 17 25,700 2,000
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字

(4)世界粗鋼生産

  生産量 前月比
2019年11月 147,791 3,703
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA)

(5)U.S.A.コンポジット価格

  価格(U.S.ドル) 操業率(%)
2019年11月 2週目 202.67 80.8
3週目 202.67 81.1
4週目 202.67 80.4
2019年12月 1週目 202.67 79.3
2週目 229.33 78.7
3週目 229.33 70.7
4週目 229.33 80.7
■資料:日本鉄源協会

Ⅲ.鉄スクラップ市況

2019年12月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値

  月初 月末 入荷状況 見込み
北海道 19.5~21.5 20.5~22.5 100% 様子見
東北 20.5~22.5 21.0~23.0 100% 様子見
新潟 21.5~22.5 22.5~23.5 100% 様子見
関東 23.0~24.0 24.5~25.0 100% 様子見
中部 22.0~23.5 23.5~24.5 100% 強含み
関西 23.5~24.5 24.5~25.5 100% 様子見
姫路 22.5~23.5 24.0~25.0 100% 様子見
中・四国 22.0中心 23.5中心 100%弱 強含み様子見
九 州 24.5中心 25.0中心 100% 様子見
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社