Ⅰ. 市況報告
新型コロナウィルス感染の勢いは衰えず、4月の鉄スクラップ市況は前月に続き荷動き、価格共に低調に推移した。国内価格は前月末と比較し、大きな値下がりは認められなかったものの、全国的に小幅値下げとなり、H2の月末価格は関東で@¥19,000~20,000となっている。
海外市況は、主な供給地である米国、欧州がコロナウィルス問題のロックダウンの影響から供給が滞りだしており、需要国で値上がりしている。トルコでは、No1HMS価格が1カ月で@$50上げの@$257CFRレベルでの成約が聞かれ、アジア地区向けにも欧米のシッパーは高値を唱えているものの纏まった成約は報告されていない。欧米産に比べ割安感のある日本産鉄スクラップへの引き合いは強く、ベトナム、台湾、韓国向けで国内電炉向け価格より@¥1,000~2,000高いレベルでの成約が聞かれる。
コロナウィルス関連では、今後自動車産業に代表されるように国内製造業の落ち込み、解体工事の延期等による鉄スクラップ母材の流通量の大幅低下が見込まれる一方で、電炉の鋼材生産量も減少する見込みであり、国内での鉄スクラップ流通量の回復は難しい状況にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2020年3月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,949 |
+33 |
(うち電炉) |
未発表 |
± |
メーカースクラップ在庫※
|
3,497 |
-135 |
小棒生産 |
654 |
+18 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2020年2月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2020年4月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
62,800 |
-1,700 |
H形鋼 |
76,000 |
-2,300 |
スクラップ |
17,900 |
-600 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2020年3月) |
前月比 |
単価 (2020年4月) |
前月比 |
スクラップ |
866 |
-24 |
20,900 |
-900 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2020年3月 |
未入電 |
± |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2020年3月 |
3週目 |
232.67 |
80.5 |
4週目 |
232.67 |
79.4 |
5週目 |
232.67 |
71.6 |
2020年4月 |
1週目 |
232.67 |
68.5 |
2週目 |
186.00 |
56.1 |
3週目 |
186.00 |
57.0 |
4週目 |
186.00 |
55.8 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2020年4月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 16.0~18.0 |
15.5~17.5 |
100%強 |
弱含み |
東北
| 16.5~18.5 |
15.5~17.5 |
100%強 |
弱含み |
新潟
| 17.5~18.5 |
17.0~18.0 |
100% |
弱含み |
関東
| 19.5~20.5 |
19.0~20.0 |
100%強 |
弱含み様子見 |
中部
| 18.0~19.0 |
17.5~18.5 |
100% |
弱含み様子見 |
関西
| 20.0~21.0 |
19.0~20.5 |
100% |
弱含み様子見 |
姫路
| 19.0~20.0 |
18.0~19.0 |
100% |
弱含み |
中・四国
| 18.5中心 |
17.5中心 |
100% |
弱含み様子見 |
九 州
| 17.5中心 |
17.5中心 |
100% |
弱含み様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |