Ⅰ. 市況報告
5月の国内鉄スクラップ相場は上昇へ転じた。新型コロナウイルスの影響で建材需要は冷え込んでおり、鉄スクラップの内需は依然として低調だが、一方では市中回収量が減少しているため国内需給は引き締まっている。月中には新規輸出成約価格や東京湾岸FAS価格が国内炉前価格を¥2,000~3,000上回る局面が続き、国内炉前価格は輸出価格を後追いする形で値戻しを続けた。月末の炉前価格は関東が@¥21,000~23,000、関西が@¥20,000~21,500とともに前月比¥1,500~2,000上昇し、2万円台を回復している。
輸出相場ではベトナムや韓国、台湾から割安感のあった日本産への引き合いが増加し、月末時点のH2輸出商談価格は¥23,500~24,000(FOB)程度と、いまだ国内炉前価格より一段高値にある。トルコ向け米国産HMS成約価格は$250台(CFR)を回復しており、海外相場も堅調に推移している。
建材需要の回復には時間を要するとの見方が多いが、供給要因により鉄スクラップ相場は堅調感を取り戻しつつある。3月の鉄スクラップ輸出量が90.3万トンと約4年ぶりの高水準を記録するなど外需は底堅く、国内相場の値戻しを牽引している。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2020年4月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
6,617 |
-1,332 |
(うち電炉) |
1,772 |
-126 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,579 |
+82 |
小棒生産 |
659 |
+5 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2020年3月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2020年5月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
62,100 |
-700 |
H形鋼 |
73,900 |
-2,100 |
スクラップ |
17,800 |
-100 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2020年4月) |
前月比 |
単価 (2020年5月) |
前月比 |
スクラップ |
903 |
+37 |
21,300 |
+400 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2020年4月 |
137,098 |
-10,183 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2020年4月 |
2週目 |
186.00 |
56.1 |
3週目 |
186.00 |
57.0 |
4週目 |
186.00 |
55.8 |
2020年5月 |
1週目 |
186.00 |
53.7 |
2週目 |
202.67 |
52.7 |
3週目 |
202.67 |
53.2 |
4週目 |
202.67 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2020年5月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 15.5~17.5 |
17.5~19.5 |
100% |
強含み様子見 |
東北
| 15.5~17.5 |
17.5~19.5 |
100% |
強含み様子見 |
新潟
| 17.0~18.0 |
18.5~19.5 |
100% |
強含み様子見 |
関東
| 19.0~20.0 |
21.0~23.0 |
90~100%弱 |
強含み |
中部
| 17.5~18.5 |
19.0~21.0 |
100%弱 |
強含み |
関西
| 19.0~20.5 |
20.0~21.5 |
90~100%弱 |
強含み |
姫路
| 18.0~19.0 |
20.0~21.0 |
90~100%弱 |
強含み |
中・四国
| 17.5中心 |
19.5中心 |
90~100%弱 |
強含み |
九 州
| 17.5中心 |
19.5中心 |
90~100%弱 |
強含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |