Ⅰ. 市況報告
4月の鉄スクラップ市況は、関東地区で前月から続く値下げの動きが継続し、初旬にはH2価格が一時4万円を割り込む場面もあったが、国際市況の上昇がありすぐに4万円台を回復し、中旬以降は関東、関西ともに堅調な値動きを示している。H2の月末価格は、関東地区で@¥41,000~42,000、関西地区で@¥42,500~43,500と前月末比¥2,000以上上昇している。
関東地区の急回復は、国際市況の値上がりを背景に輸出向けFOB価格の上昇が反映したもので、特に関東鉄源協同組合の輸出入札価格が@¥43,000FAS台と地場価格より¥4,000近く高値で成約されたことが切っ掛けとなった。
鋼材価格も世界的に値上がりしており、製鉄メーカーの増産意欲は強く原料需要が高まっている。主原料である鉄鉱石の中国向けスポット価格が10年ぶりに@$190超をつけるなど、鉄スクラップ価格上昇を下支えしている。鉄以外でも、銅、アルミ等の非鉄価格の値上がりも顕著であり資源価格全般の上昇にも注目する必要がある。
輸出では、中国からのHSに対する買いは続いており、国内高炉メーカーもCO2削減の観点から市中スクラップの購入を再開するなど、上級スクラップの不足感が根強い。一方で、H2には日本産の割高感も聞かれ始め、新規成約はさほど伸びていない。市況の先行きは、連休を挟み見通し難い状況にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年3月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,315 |
+843 |
(うち電炉) |
2,082 |
+158 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,984 |
-104 |
小棒生産 |
650 |
+23 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年2月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年4月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
78,300 |
+300 |
H形鋼 |
85,500 |
+500 |
スクラップ |
39,000 |
+400 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2021年3月) |
前月比 |
単価 (2021年4月) |
前月比 |
スクラップ |
727 |
+88 |
43,100 |
+2,700 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2021年3月 |
169,200 |
+19,000 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年3月 |
3週目 |
411.67 |
77.3 |
4週目 |
411.67 |
77.6 |
5週目 |
411.67 |
77.9 |
2021年4月 |
1週目 |
411.67 |
77.6 |
2週目 |
391.67 |
78.0 |
3週目 |
391.67 |
78.4 |
4週目 |
391.67 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年4月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 35.5~36.5 |
39.0~40.0 |
100% |
堅調様子見 |
東北
| 38.0~39.0 |
40.0~41.0 |
100% |
堅調様子見 |
新潟
| 38.0~39.0 |
40.0~41.0 |
100%弱 |
堅調様子見 |
関東
| 39.0~40.0 |
41.0~42.0 |
100%弱 |
堅調様子見 |
中部
| 40.0~41.0 |
43.0~44.0 |
100%弱 |
堅調様子見 |
関西
| 40.5~41.0 |
42.5~43.5 |
100%弱 |
堅調様子見 |
姫路
| 40.0~40.5 |
43.5~44.5 |
100% |
堅調様子見 |
中・四国
| 40.5中心 |
44.0中心 |
100% |
堅調様子見 |
九 州
| 41.0中心 |
43.5中心 |
100% |
堅調様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |