Ⅰ. 市況報告
3月の国内鉄スクラップ価格は3ヵ月ぶりに反落した。上旬は前月からの強基調を保ったが、中旬以降は全国的に弱含みに転じ、関東で¥2,500程度、関西で¥1,000程度の高値修正が進んだ。月末のH2炉前価格は関東が@¥39,000~40,000、関西が@¥40,500~41,000を形成している。
下落の背景にはフレートの高騰と配船予定の遅延の影響が指摘され、船積み数量の減少が目立った関東を中心に需給が緩和した。並行して新規輸出相場も続落基調を辿り、H2輸出成約価格は韓国向けで@¥40,000(FOB)へと上旬の高値から¥3,500下落したほか、海外ではトルコ向け米国産HMS成約価格が同約$30安の@$427(CFR)へ切り下がった。
国内鉄スクラップ相場は年初から短い期間で上下動を繰り返す不安定な動きを見せているが、各地とも4万円前後の高値を保って新年度を迎えている。電炉メーカーの生産量は回復基調にあるうえ、年度末に増加したと見られる市中回収量は今後落ち着くことが想定されるため、国内鉄スクラップ相場は4月以降も堅調な展開が見込まれる。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2021年2月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,472 |
-452 |
(うち電炉) |
1,924 |
+90 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,088 |
+56 |
小棒生産 |
627 |
+26 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年1月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2021年3月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
78,000 |
±0 |
H形鋼 |
85,000 |
+1,000 |
スクラップ |
38,600 |
+3,700 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2021年2月) |
前月比 |
単価 (2021年3月) |
前月比 |
スクラップ |
639 |
+138 |
40,400 |
+2,300 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2021年2月 |
150,200 |
-12,700 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2021年2月 |
2週目 |
360.00 |
76.9 |
3週目 |
360.00 |
77.0 |
4週目 |
360.00 |
77.2 |
2021年3月 |
1週目 |
360.00 |
77.4 |
2週目 |
411.67 |
77.7 |
3週目 |
411.67 |
77.3 |
4週目 |
411.67 |
77.6 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2021年3月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 34.5~35.5 |
35.5~36.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 39.5~40.5 |
38.0~39.0 |
100%強 |
軟調様子見 |
新潟
| 38.5~39.5 |
38.0~39.0 |
100% |
軟調様子見 |
関東
| 40.0~41.0 |
39.0~40.0 |
100%強 |
軟調様子見 |
中部
| 40.0~41.0 |
40.0~41.0 |
100%強 |
様子見 |
関西
| 40.0~41.0 |
40.5~41.0 |
100% |
様子見 |
姫路
| 40.0~41.0 |
40.0~40.5 |
100%弱 |
様子見 |
中・四国
| 40.5中心 |
40.5中心 |
100%弱 |
様子見 |
九 州
| 40.0中心 |
41.0中心 |
100%弱 |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |