Ⅰ. 市況報告
4月下旬をピークに値下げに転じた国内鉄スクラップ市況は、7月にかけて下げ基調が続いたが、8月中旬に急反発を見せた。9月も需給タイト感が残り上旬にかけて堅調な推移となっていたが、海外からの引き合いが後退したこともあり中旬以降は強弱が混在する展開になった。9月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~51,500、関西が¥49,500~51,500になった。9月下旬の下げ幅が小幅にとどまったことでいずれも前月末比約4,000円高い。
日本の価格は海外相場と比較して割高感があり、海外からの日本産スクラップに対する引き合いは後退した。内外価格差のひとつの理由としては、大手電炉の輸出に対抗した国内価格維持の姿勢が挙げられる。また、足元相場は弱いが市中発生や荷動きは必ずしも芳しくなく、相場と荷動きの不一致が起きていることが今後の相場の方向性に不透明感を与えている。
一方、カーボンニュートラルで注目される日本の高炉の購入量及び中国の輸入量は大方の予想に反し今年も伸びておらず、将来どのタイミングで増えるのかが注目されている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年8月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,339 |
+13 |
(うち電炉) |
1,763 |
-211 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,277 |
+53 |
小棒生産 |
555 |
-104 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年7月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年9月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
113,100 |
-1,700 |
H形鋼 |
123,700 |
±0 |
スクラップ |
47,100 |
+7,800 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2022年8月) |
前月比 |
単価 (2022年9月) |
前月比 |
スクラップ |
496 |
+61 |
49,250 |
+6,100 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年8月 |
150,600 |
-1,300 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年8月 |
3週目 |
333.33 |
79.7 |
4週目 |
333.33 |
79.3 |
5週目 |
333.33 |
77.8 |
2022年9月 |
1週目 |
333.33 |
78.2 |
2週目 |
328.33 |
76.9 |
3週目 |
313.33 |
76.4 |
4週目 |
313.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年9月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 42.0~43.0 |
45.5~46.5 |
100% |
軟調 |
東北
| 42.5~44.5 |
47.5~49.5 |
100%弱 |
軟調 |
新潟
| 44.0~45.0 |
49.5~50.5 |
100%弱 |
軟調様子見 |
関東
| 46.0~47.0 |
50.0~51.5 |
100% |
軟調様子見 |
中部
| 45.5~46.5 |
47.5~48.5 |
100%弱~100% |
軟調 |
関西
| 46.5~47.5 |
50.0~51.5 |
100%弱 |
様子見 |
姫路
| 46.0~46.5 |
49.0~49.5 |
100% |
軟調様子見 |
中・四国
| 47.0中心(陸上) |
50.0中心 |
100% |
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九 州
| 48.0中心(陸上) |
50.5中心 |
100%弱 |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |