Ⅰ. 市況報告
1月後半に全国的に底入れした鉄スクラップ市況は、2月に入り上昇基調を強めて月末までに大幅に値上がりしている。関東地区のH2炉前価格は、¥56,000~57,500と前月末比¥5,000以上上昇し、関西でも(同)¥4,000アップの¥56,500~57,000となっており、西高東低相場は終焉した。
上昇の要因は、韓国向けを中心とした輸出FOB価格の値上がりであり、2月9日に実施された関東鉄源協同組合の落札価格がFAS¥55,800台とリーマンショック時以来の高値となったことがそれを物語っている。国際市況では、トルコ向け米国産HMS価格も$505CFR前後と昨年末から$50程度の上昇が認められる。
また、鉄スクラップだけでなく電気代、合金鉄等の副資材価格も上昇していることから、国内では電炉メーカーが製鋼コストアップ分を製品販売価格に転嫁すべく鋼材価格の値上げに尽力中で、ベース丸棒の関東地区での市場価格が10万円台に乗ったとの報道も見られる。
月末を迎え、韓国向け輸出成約価格が反落したほか、ロシアのウクライナ侵攻という地政学的リスクが表面化するなど、鉄スクラップ市場を取り巻く環境は予断を許さない状況のまま3月を迎えている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年1月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,758 |
-176 |
(うち電炉) |
1,926 |
-69 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,032 |
+263 |
小棒生産 |
587 |
-32 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2021年12月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年2月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
95,100 |
+400 |
H形鋼 |
109,700 |
±0 |
スクラップ |
51,900 |
+2,000 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2022年1月) |
前月比 |
単価 (2022年2月) |
前月比 |
スクラップ |
302 |
-193 |
56,800 |
+6,200 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年1月 |
155,000 |
-3,700 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年1月 |
3週目 |
406.67 |
81.9 |
4週目 |
406.67 |
81.6 |
5週目 |
406.67 |
81.1 |
2022年2月 |
1週目 |
406.67 |
79.8 |
2週目 |
406.67 |
80.1 |
3週目 |
406.67 |
未入電 |
4週目 |
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■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年2月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 47.5~48.5 |
51.5~52.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 50.0~51.0 |
53.0~54.0 |
100% |
様子見 |
新潟
| 49.5~50.5 |
56.0~57.0 |
100% |
様子見 |
関東
| 51.0~52.0 |
56.0~57.5 |
100% |
様子見 |
中部
| 52.0~53.5 |
55.0~56.0 |
100% |
様子見 |
関西
| 52.5~54.0 |
56.5~57.0 |
100% |
様子見 |
姫路
| 53.0~54.0 |
56.5~57.0 |
100%弱 |
様子見 |
中・四国
| 54.0中心 |
57.0中心 |
100%弱 |
様子見 |
九 州
| 54.0中心 |
57.0中心 |
100%弱 |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |