Ⅰ. 市況報告
2月末のロシアのウクライナ侵攻をきっかけとして世界的にさらに急騰した鉄スクラップ相場は、日本国内においては4月を迎えてもその勢いは衰えず値上がりが認められる。月末の関東地区のH2炉前価格は前月比¥2,000upの¥65,500~66,500、関西でも¥2,000前後高い¥66,000~67,500となっている。
しかし、ウクライナ危機も2か月以上が経過し、鉄スクラップ価格の領域でも徐々に高値修正の動きが出始め、米国内のコンポジット価格をはじめとし米国産のトルコ向けHMS価格は値下がりしている。一方の日本国内は、¥130/$となった円安基調と大型連休を控えての需要家の積極購入姿勢の影響で需給タイトな状況は継続しており、高値が維持されている。
月末を迎え、日本産鉄スクラップの割高感やフレート高から韓国、ベトナム向けの輸出成約が出来にくい状況にあり、輸出向けFAS価格は国内炉前向け価格より低位となるなど、連休を挟んで弱気要因も散見される。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年3月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,955 |
+656 |
(うち電炉) |
2,063 |
+117 |
メーカースクラップ在庫※
|
2,877 |
-117 |
小棒生産 |
658 |
+67 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年2月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年4月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
110,900 |
+10,000 |
H形鋼 |
115,600 |
+3,600 |
スクラップ |
61,800 |
+3,700 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2022年3月) |
前月比 |
単価 (2022年4月) |
前月比 |
スクラップ |
615 |
+102 |
65,800 |
+3,300 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年3月 |
161,000 |
+19,000 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年3月 |
2週目 |
473.33 |
80.2 |
3週目 |
531.67 |
79.4 |
4週目 |
531.67 |
79.3 |
2022年4月 |
1週目 |
531.67 |
79.7 |
2週目 |
527.67 |
80.9 |
3週目 |
518.33 |
81.7 |
4週目 |
518.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年4月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 60.5~61.5 |
61.5~62.5 |
100%弱 |
様子見 |
東北
| 60.5~61.5 |
62.5~63.5 |
100%弱 |
様子見 |
新潟
| 63.0~64.0 |
64.0~65.0 |
100%弱 |
様子見 |
関東
| 63.5~64.5 |
65.5~66.5 |
100% |
様子見 |
中部
| 63.5~64.5 |
64.5~65.5 |
100%弱 |
様子見 |
関西
| 64.5~65.5 |
66.0~67.5 |
100%弱 |
様子見 |
姫路
| 63.5~64.5 |
65.0~65.5 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 64.5中心 |
65.5中心 |
100%強 |
様子見 |
九 州
| 64.5中心 |
65.5中心 |
100% |
様子見 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |