Ⅰ. 市況報告
4月上旬をピークに値下げに転じた国内鉄スクラップ市況は、6月になっても下げ基調が継続し、月末を迎えても底値は見えていない。月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~51,000、関西が¥52,000~53,000とともに前月末比約6,000円安く、輸出成約難を反映して関東地区の湾岸FAS価格は¥47,000~47,500と5万円の大台を切る事態となっている。
2月末のロシアのウクライナ侵攻に端を発し世界的に急騰した鉄スクラップ市況は、侵攻後4か月を経過し、その影響が剝げ落ちるだけでなく一転して大幅下落に見舞われている。ロシア産の安価な半製品がトルコ、中東、アジア地区に流入し鉄スクラップ相場に下落圧力をもたらしているとされ、米国産のトルコ向けHMS成約価格はUS$330CFRと、3月のピークに比べちょうど半値まで下がっている。
海外鉄スクラップ市況の先行きは予断を許さず、国内市況も円安効果で比較的高値を保っているとは言え、夏場の需要減を控え弱含み基調が継続しそうな状況にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年5月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,065 |
+594 |
(うち電炉) |
2,129 |
+117 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,158 |
+178 |
小棒生産 |
694 |
+15 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年4月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年6月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
116,800 |
+900 |
H形鋼 |
120,800 |
+2,700 |
スクラップ |
53,300 |
-5,900 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
|
数量 (2022年5月) |
前月比 |
単価 (2022年6月) |
前月比 |
スクラップ |
562 |
-103 |
52,300 |
-2,000 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年5月 |
169,500 |
+6,800 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年5月 |
2週目 |
443.33 |
82.0 |
3週目 |
443.33 |
82.4 |
4週目 |
443.33 |
81.6 |
2022年6月 |
1週目 |
443.33 |
81.7 |
2週目 |
443.33 |
80.5 |
3週目 |
393.33 |
80.2 |
4週目 |
393.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 54.0~55.0 |
47.0~48.0 |
100%強 |
続落 |
東北
| 54.0~55.0 |
47.5~48.5 |
100%強 |
続落 |
新潟
| 55.5~56.5 |
49.0~50.0 |
100%強 |
続落 |
関東
| 56.0~57.0 |
50.0~51.0 |
100%強 |
続落 |
中部
| 56.0~57.0 |
53.0~54.0 |
100%強 |
弱含み |
関西
| 57.5~58.5 |
52.0~53.0 |
100% |
続落 |
姫路
| 56.5~57.0 |
51.5~52.0 |
100%強 |
続落 |
中・四国
| 57.0中心 |
52.0中心 |
100%強 |
弱含み |
九 州
| 57.0中心 |
52.0中心 |
100%強 |
弱含み |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |