Ⅰ. 市況報告
供給量の伸び悩みで10月に比較的穏やかな展開を見せた鉄スクラップ相場は、11月に入り値下がり基調となった。海外からの需要後退を背景に輸出交渉が減少し、新規成約が難航している。日本国内のH2価格は月初から¥3,500ほど値を下げ、11月末のH2炉前価格は関東が¥46,000~47,000、関西が¥45,500~48,000ほどに下落しているが、なおも「国内高・海外安」の展開が続いている。
ロシアのウクライナ侵攻から始まったエネルギーをはじめとする世界の物価高から世界経済が減速し、鉄鋼需要も落ち込んだ。そうした海外の動きを受け日本の鉄スクラップも下げ始めたものの、日本の普通鋼電炉生産量は底堅く、小棒価格をはじめ鋼材価格は下げを見せていない。11月が終わり、一旦鉄スクラップの下げが落ち着くことになれば、その後は海外相場の動向を注視する展開となるであろう。
一方、カーボンニュートラルで注目される日本の高炉の購入量及び中国の輸入量は大方の予想に反し今年も伸びておらず、将来どのタイミングで増えるのかが注目されている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2022年10月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,349 |
+209 |
(うち電炉) |
2,046 |
+46 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,125 |
-2 |
小棒生産 |
673 |
+48 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2022年9月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2022年11月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
112,700 |
±0 |
H形鋼 |
123,700 |
±0 |
スクラップ |
45,570 |
-1,330 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2022年10月) |
前月比 |
単価 (2022年11月) |
前月比 |
スクラップ |
658 |
+34 |
44,000 |
-4,500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2022年10月 |
147,300 |
-4,400 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2022年10月 |
2週目 |
310.00 |
74.8 |
3週目 |
310.00 |
74.5 |
4週目 |
310.00 |
73.5 |
2022年11月 |
1週目 |
310.00 |
73.7 |
2週目 |
294.76 |
73.0 |
3週目 |
293.33 |
72.8 |
4週目 |
293.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2022年11月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.0~46.0 |
41.0~42.0 |
100%強 |
続落 |
東北
| 47.0~49.0 |
44.0~45.5 |
100% |
続落 |
新潟
| 49.0~50.0 |
45.5~46.5 |
100%強 |
続落 |
関東
| 49.5~50.5 |
46.0~47.0 |
100% |
続落 |
中部
| 48.0~48.5 |
44.5~46.0 |
100%~100%強 |
続落 |
関西
| 50.5~52.0 |
47.5~48.0 |
100%強 |
続落 |
姫路
| 49.0~49.5 |
45.5~46.0 |
100%強 |
続落 |
中・四国
| 50.0中心 |
46.0中心 |
100% |
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九 州
| 50.5中心 |
46.0中心 |
100% |
|
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |