Ⅰ. 市況報告
6月の国内鉄スクラップ市況は、5月中旬からの強含みの状況を引き継いだ形で始まった。9日の関東鉄源輸出入札で落札価格が伸び悩み、需要不安感も漂ったが、市中スクラップの荷動きが低調なことからタイト感が継続。月上旬から中旬にかけて各地区で2,000円ほどの値上げが浸透し、月末も堅調感が残っている。
製品環境の悪化にともない国内外の需要水準は低調である。ただし、鉄スクラップ業者の在庫が薄く、需給がミートするかたちで相場が崩れにくい環境となっている。また、海外メーカーも日本産鉄スクラップの手当てを続けており、急激な円安の進行で円建て価格が上昇した。品薄感や先行き不透明感によって日本のサプライヤーも安値販売を避けており、国内相場と同様に輸出の交渉価格も堅調感が残っている。6月末のH2炉前価格は、関東が¥48,500~49,500、関西(大阪・姫路)が¥47,500~50,000で、前月末比較ではいずれも¥2,500ほど高くなっている。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年5月)
|
生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,649 |
+412 |
(うち電炉) |
2,045 |
+82 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,428 |
-19 |
小棒生産 |
641 |
-34 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年4月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2023年5月) |
前月比 |
単価 (2023年6月) |
前月比 |
スクラップ |
592 |
+32 |
48,400 |
-1,500 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2023年5月 |
161,600 |
+200 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2023年5月 |
3週目 |
330.00 |
76.8 |
4週目 |
330.00 |
77.2 |
5週目 |
330.00 |
78.0 |
2023年6月 |
1週目 |
330.00 |
77.3 |
2週目 |
324.67 |
77.5 |
3週目 |
303.33 |
78.1 |
4週目 |
303.33 |
未入電 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 43.5~44.0 |
44.5~45.5 |
100% |
様子見 |
東北
| 45.0~46.0 |
47.0~48.0 |
100% |
様子見 |
新潟
| 45.0~46.0 |
47.0~48.0 |
100% |
様子見 |
関東
| 46.0~47.0 |
48.5~49.5 |
100%前後 |
様子見 |
中部
| 45.5~47.0 |
48.0~48.5 |
98%~100% |
様子見 |
関西
| 47.0~49.0 |
49.5~50.0 |
100% |
様子見 |
姫路
| 46.0~46.5 |
47.5~49.0 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 47.0中心 |
48.5中心 |
100% |
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九 州
| 47.5中心 |
48.5中心 |
100%強 |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |