Ⅰ. 市況報告
2023年の鉄スクラップは総じて安定した相場展開であったと総括される。5万円を挟んでのなだらかな相場が続いたが、年間平均では2022年に次いで史上2番目の高値であった。安定した相場の理由として、海外市況が大きく動かなかったことがあげられる。ロシア・ウクライナ戦争による資源の一時的な急騰・急落場面はあったが、資源価格が高止まりしたまま世界経済が減速するという、一見相反する状況が続いた。物価高の影響や供給ネックによる需給の拮抗が資源価格の安定を生み、鉄スクラップにも同様な影響があったと推察される。
尚、12月は上旬に大手電炉の500円値上げが全国に浸透したが、全般的に安定した相場展開であった。
2024年始めは鉄鉱石、石炭価格も高止まり、鉄スクラップ価格は底堅いと見る向きが多い。注意すべきは為替である。2024年も海外市況の値動きと為替変動が影響するかたちで、日本国内市況も上下に動く可能性がある。12月末のH2炉前価格は、関東が¥50,000~51,500、関西(大阪・姫路)が¥50,500~52,000で、前月末比較では関東、関西ともにほぼ¥500の値上げであった。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2023年11月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,111 |
-400 |
(うち電炉) |
2,019 |
+19 |
メーカースクラップ在庫※
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3,255 |
-47 |
小棒生産 |
631 |
-6 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2023年10月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2023年11月) |
前月比 |
単価 (2023年12月) |
前月比 |
スクラップ |
496 |
-201 |
51,500 |
+1,600 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
|
生産量 |
前月比 |
2023年11月 |
145,500 |
-4,500 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2023年11月 |
2週目 |
332.00 |
73.8 |
3週目 |
335.00 |
73.4 |
4週目 |
335.00 |
74.1 |
2023年12月 |
1週目 |
335.00 |
73.8 |
2週目 |
341.67 |
74.6 |
3週目 |
368.33 |
未入手 |
4週目 |
未入手 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2023年12月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 45.5~46.0 |
45.5~46.0 |
100% |
様子見 |
東北
| 49.0~50.0 |
49.5~50.5 |
100% |
様子見 |
新潟
| 49.0~50.0 |
49.5~50.5 |
100%弱~100% |
様子見 |
関東
| 49.5~51.0 |
50.0~51.0 |
100% |
様子見 |
中部
| 48.5~50.0 |
49.5~51.0 |
100% |
様子見 |
関西
| 50.0~51.5 |
50.5~52.0 |
100% |
様子見 |
姫路
| 50.0~51.0 |
50.5~51.0 |
100% |
様子見 |
中・四国
| 50.5中心 |
51.0中心 |
100% |
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九 州
| 50.5中心 |
51.0中心 |
100% |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |