Ⅰ. 市況報告
8月の鉄スクラップ国内相場は続落となった。7月中旬からの値下げ回数は7~8回を重ねた。夏季減産で需要減となるものの、発生も夏枯れで少ないため需給そのものに大きな変化は生じておらず、相場は「為替」と「海外安」といった外的要因で一気に値下げを加速した。
7月中旬の日銀の為替介入や追加利上げの動きでドル・円は約1割円高に振れ、鉄スクラップ相場も8月にかけて同様に約1割値下がりした。海外価格はトルコ向け米国産鉄スクラップが続落しCFR$360弱(約$30↓、約8%↓)まで下落、韓国、ベトナムも同様な動きとなった。その後トルコ向けは$5ほど値を戻し、海外価格は安定化の兆候を見せている。先行下落していた海外スクラップ相場や鋼材価格の下落が一旦止まったことで、足元の見方としては、為替の動きが最大のポイントとして注目される。
8月末のH2炉前価格としては、関東が45,000~46,000円、関西(大阪・姫路)が46,000~48,500円となり、前月末比較では関東が約5,000円、関西が約3,000円値下がりした。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2024年7月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
7,100 |
+76 |
(うち電炉) |
1,875 |
-24 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,297 |
-7 |
小棒生産 |
525 |
-64 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2024年6月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)輸出
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数量 (2024年7月) |
前月比 |
単価 (2024年8月) |
前月比 |
スクラップ |
570 |
-34 |
47,100 |
-3,150 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(3)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2024年7月 |
152,800 |
-8,600 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(4)U.S.A.コンポジット価格
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価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2024年7月 |
3週目 |
310.00 |
78.3 |
4週目 |
310.00 |
77.9 |
5週目 |
310.00 |
77.5 |
2024年8月 |
1週目 |
310.00 |
78.1 |
2週目 |
310.00 |
79.0 |
3週目 |
310.00 |
82.0 |
4週目 |
310.00 |
未入手 |
■資料:日本鉄源協会 |
*2023年4月の市況より、価格(月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)の掲載を中止致しました。 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2024年8月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 44.5~45.5 |
41.5~42.5 |
100% |
弱含み |
東北
| 49.0~50.0 |
43.5~44.5 |
100% |
続落 |
新潟
| 49.5~50.5 |
44.0~45.0 |
100% |
続落 |
関東
| 50.0~51.0 |
45.0~46.0 |
100%~100%強 |
続落 |
中部
| 49.0~50.5 |
45.0~46.0 |
100%強 |
弱含み |
関西
| 50.0~51.5 |
47.0~48.5 |
100%強 |
弱含み |
姫路
| 49.0~50.5 |
46.0~47.5 |
100% |
弱含み |
中・四国
| 49.0中心 |
46.0中心 |
100% |
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九 州
| 49.0中心 |
46.0中心 |
100%強 |
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(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |