Ⅰ. 市況報告
4月に始まった鉄スクラップ価格の下落基調は、6月に入っても収束せず月間を通して全国的に下げ続けた。価格帯は、関東で@¥26,000~26,500、関西で@¥26,000~27,000と前月末比それぞれ@¥3,000程度下がっており、これはおよそ2年ぶりの安値となっている。
その要因として考えられるのは、米中貿易摩擦に起因する世界的な鉄鋼全般にわたる市況の不冴が挙げられる。鋼材市況の値下がりが鉄スクラップ価格にも伝播した形で、トルコ向け米国産No1HMSがピーク比@$30以上安い@$280CFRまで下がり、米国のコンポジット価格も中旬に@$30近く急落した。また韓国向け日本産H2も@¥28,000FOBと1か月で@¥2,000下がっている。
好調だった国内の電炉生産も、鋼材の需要減と輸出向けビレットの成約難もあって減産の動きが顕著となってきており、鉄スクラップへの買意欲も減退している。高炉原料である鉄鉱石、原料炭価格は高値を維持しているものの、鉄スクラップ価格の上昇には繋がっておらず、従来あった鉄鉱石価格と鉄スクラップ価格は関連性があるとの見方は適用できない状況が当面は続きそうな状況にある。
Ⅱ. 鉄鋼諸指標
(1)生産・在庫(2019年5月)
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生産・在庫量 |
前月比 |
粗鋼生産 |
8,676 |
+29 |
(うち電炉) |
2,088 |
-69 |
メーカースクラップ在庫※
|
3,365 |
+151 |
小棒生産 |
686 |
-34 |
(単位:千トン ※メーカースクラップ在庫は2019年4月の数値)■資料:日本鉄源協会 |
(2)価格 (2019年6月/月平均価格、東京・中部・関西三地区平均)
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価格 |
前月比 |
異形棒鋼 |
71,300 |
±0 |
H形鋼 |
88,000 |
±0 |
スクラップ |
27,300 |
-1,400 |
(単位:円)■資料:日本鉄源協会 |
(3)輸出
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数量 (2019年5月) |
前月比 |
単価 (2019年6月) |
前月比 |
スクラップ |
519 |
-98 |
28,400 |
-2,800 |
(単位:[数量]千トン/[単価]月平均 東京湾FOB円)■資料:日本鉄源協会 ※価格はヒアリングベースの独自数字 |
(4)世界粗鋼生産
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生産量 |
前月比 |
2019年5月 |
162,744 |
+6,073 |
(単位:千トン)■資料:世界鉄鋼協会(WSA) |
(5)U.S.A.コンポジット価格
|
価格(U.S.ドル) |
操業率(%) |
2019年5月 |
3週目 |
263.33 |
82.8 |
4週目 |
263.33 |
81.6 |
5週目 |
263.33 |
81.3 |
2019年6月 |
1週目 |
263.33 |
81.2 |
2週目 |
235.00 |
80.6 |
3週目 |
235.00 |
81.1 |
4週目 |
235.00 |
(未入電) |
■資料:日本鉄源協会 |
Ⅲ.鉄スクラップ市況
2019年6月末、H2ベース、メーカー炉前価格、実勢値
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月初 |
月末 |
入荷状況 |
見込み |
北海道
| 27.0~29.0 |
23.5~25.5 |
100%強 |
続落 |
東北
| 26.0~28.0 |
22.5~24.5 |
100%強 |
続落 |
新潟
| 28.0~29.0 |
24.5~25.5 |
100%強 |
続落 |
関東
| 28.5~29.5 |
26.0~26.5 |
100%強 |
続落 |
中部
| 29.0~30.0 |
25.0~26.0 |
100%強 |
続落 |
関西
| 30.0~31.0 |
26.0~27.0 |
100%強 |
続落 |
姫路
| 29.5~30.5 |
26.0~27.0 |
100%強 |
続落 |
中・四国
| 29.5中心 |
26.0中心 |
100%強 |
続落 |
九 州
| 30.5中心 |
26.0中心 |
100%強 |
続落 |
(単位:千円)■出所:日刊市况通信社 |